外科医長 鈴木哲也 (日本肝臓学会認定 肝臓専門医)

今回肝臓専門外来を開設させていただくことになりました。肝臓と聞くとお酒の飲み過ぎ、疲れすぎなどで悪くなるんじゃないかと漠然と考えていらっしゃる方 も多いかもしれません。市や会社の健康診断で『肝機能が少し上がっています。』などと指摘されても飲み過ぎのためと安易に考えていらっしゃらないでしょうか?
肝臓に炎症が持続的に起こる慢性肝炎の状態は確かにアルコールの過剰摂取でも起こりうることが知られています。しかしその中には多くのウイルス肝炎が潜んでいることを認識していただきたいのです。この慢性肝炎の状態を放置しておくと徐々に肝臓の線維化が進み肝硬変の状態になります。肝硬変になると年間約7 パーセントの方に肝臓癌が出来るといわれています。この確立は単純計算すると10年以内に半数以上の方が発癌することになります。山梨県は東日本のなかで は比較的このようなウイルス肝炎をもっていらっしゃる方が多いことで知られており注意が必要です。
では、一旦ウイルス肝炎(その多くがC型肝炎)にかかっていることが分かった場合はどうしたらよいのでしょうか?残念ながら何も治療を受けられていない方 が多いのが現状です。またせいぜい肝庇護療法のみの治療にとどまっている方も多いのが現状です。そこで登場するのがインターフェロンです。最近では週に一 回の注射で治療可能な薬剤も登場し、更にリバビリンという薬を併用することで今まで治療が難しかったタイプのウイルスにも高い治療効果が得られるように なってきています。AST、ALTの値に異常が見られた方、また刺青や以前に注射薬物を使用した経験がある方、パートナーが感染している等ご心配な方はまずご相談ください。日本肝臓学会のホームページでも慢性肝炎理解のための手引き(http://www.jsh.or.jp/citizen/guidance/index.html) が掲載されておりますので参考にしてください。
更に肝臓癌が出来てしまった方。と言われてもこれは自覚症状で分かるものではありません。まだ肝硬変に至っていない慢性肝炎の状態の方からも残念ながら肝 臓癌は出来ることがあります。ですから頻回の血液検査や腹部超音波診断、CT検査などが必要となります。もし肝臓癌を早期に発見できれば(大きさ、数、発 生した位置などによりますが)開腹手術を行わないでラジオ波やマイクロ波での治療可能となります。しかしながらある程度進行し肝臓の中に転移が始まってきている疑いがある場合(肝臓癌の一番転移しやすい場所は肝臓自身です)は外科的切除がもっとも良い治療法となります。当院では山梨大学第1外科との協力の下、外科的肝切除治療、ラジオ波治療、マイクロ波治療、更には山梨大学放射 線科にご協力いただき経動脈的塞栓化学療法や動注化学療法など様々な治療手段を駆使した肝癌治療が可能となっています。担当医師の得意な治療で治療を実施 するのではなく、患者様の状態にもっとも適切な治療法を行うことがとても大切なことなのです。
また、ウイルス感染が持続した状態では肝臓癌はまた新たに再発(以前の癌の再発と考えられる場合もあるが、全く新しく出てくることも多い)が起こることが 知られています。そのため手術などの治療がうまく出来ても、その後のウイルス対策が出来ていなければ片手落ちなのです。そのため当院では癌治療の後のウイ ルス対策にも力を入れていこうと考えております。
肝炎、肝癌治療にはある程度の時間と、通院が必要となります。病院へのアクセス、駐車場の混み具合、外来での待ち時間、更に入院が必要となった際の早急な 対応などそれらのどれが悪くても長い治療には不都合です。幸い当院は甲府市中心部にありながら駐車場も確保されていますし、中規模病院ならではの機動性も 併せ持っています。肝炎、肝癌患者様に信頼され末永く愛される肝臓外来を目指しております。是非ご相談ください。










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